遺言書って何?「遺言書Q&A」

遺言Q&A

 

ここでは遺言書についての疑問をQ&A形式で解説していきます。遺言書に対する理解を深めましょう。

 

Q.遺言書には何を書くの?

A.遺言書には主に相続財産の分割方法を書くことになります。
相続財産の分割方法は自由に書くことが出来ます。
遺言書が無ければ遺産は相続人が法定割合を目安として分割します。

Q.遺言書の書き方は?

AA.遺言書には決まった書き方があるわけではありません。
ただ無効とならないためのルールが数多く存在します。

 

遺言書の効力は書いた人が亡くなった時に発生するため、本人に確認が取れないからです。

 

本人が書いたことを証明しなければなりませんし(自筆、署名、押印)、あいまいな言い回し(預金は長男に残す→どこの銀行の預金?普通預金?定期預金?)だと相続人が困ってしまいます。

 

せっかく書いた遺言書が無効となることもあります。

 

これらのルールは法によって決められたものもあれば、過去のトラブルを教訓として決められたものもあります。
また遺留分(いりゅうぶん)という制度にも注意が必要です。(←後述します)

 

書式に関しては、本やネットで様々な書式が紹介されていますので参考にしてみるといいでしょう。

Q.遺言書には何種類かあるって聞いたんだけど?

A.遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。

 

簡単に紹介していきましょう。

  1. 自筆証書遺言
  2. 文字どおり本人が書き残す遺言書のことです。

     

    署名、押印をして保管しておきます。保管場所としては自宅の書斎、貸金庫などでしょうか。

     

    遺言書においてのトラブルはこの自筆証書遺言が最も多いです。ルールが守られていない、内容が不明確、発見されない、偽造、盗難などなど。形式や内容、保管場所には十分な注意が必要です。

  3. 公正証書遺言
  4. 本人が証人2人を連れて公証役場へ行き、公証人に作成・保管してもらう遺言書です。

     

    一番確実な方法です。

     

    証人2人と手数料が発生することがデメリットでしょうか。

  5. 秘密証書遺言

遺言は本人が作成します。自筆証書遺言とは違いワープロなどで作成できますが、署名、押印、封印は必要です。

 

これを証人2人と共に公証役場に持っていき、本人、証人、公証人がそれぞれ署名、押印します。
つまり
遺言の内容は秘密にしておき、遺言書の存在だけを証明してもらうことになります
(手数料がかかります)。

 

保管は本人が行います。内容は確認されないため自筆証書遺言と同様のトラブルが考えられます。

Q.遺言書の種類はどれがお勧めですか?

A.ズバリ公正証書遺言です。

 

遺言書は有効でなければなりません。自筆証書遺言、秘密証書遺言は上記Q&Aで紹介したようなデメリットがあります。

 

費用の問題はありますが、リスクを考えるとやはり公正証書遺言になります。また、自筆証書遺言と秘密証書遺言は相続発生後に家庭裁判所で「検認」の手続きを申し立てる必要があります(公正証書遺言の場合は不要です)。

今年度(2019年)から法改正により自筆証書遺言に対するハードルが低くなりつつあります。「一部は自筆でなくてもよい」「法務局でも預かってもらえる」などです。

ですが、これらの法改正は内容の不備を解消するものではありません。確実さを求めるのなら公正証書遺言になります(公正証書遺言では法の専門家である公証人のアドバイスを受けながら作成することになるからです)。

Q.遺言書はいつ頃書けばいいですか?

A.下記ページの「こんな人は遺言書が必要です」に該当する方は早めに書いておいたほうが良いでしょう。

 

 

それ以外の方は「遺言書」に興味を持った時でしょうか。つまり、今このページを読んだ時です。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

 

ちなみに、遺言書は何度でも書き直すことが出来ます。もし気持ちが固まっていないのであれば形式等にこだわらずにメモ書き程度でも良いので書いてみてはいかがでしょうか。

 

気持ちが固まってから公正証書遺言などを考えてみるのもいいかもしれませんね。

Q.遺留分という言葉を聞いたけど、私の書いた遺言書にどのように影響しますか?

A.遺留分とは相続人が最低限相続できる割合のことを言います。

 

この割合は相続人ごとに決められています。

 

遺言書で遺留分を侵害する相続財産の分割方法を指定した場合は、その範囲内で実現されないことがあります。

 

実現されない場合とは、遺留分を侵害された相続人がその権利を主張した場合です。権利を主張しない場合は遺言書通りに分割されることになります。
(例 法定割合の相続分が1000万円、遺言書の指定による相続分がが300万円だった場合→この場合は遺留分(最低限度相続できる割合は1/2)は500万円となります。従って不足分である200万円(500万円-300万円)分は相続人が主張出来ることになります。)

Q.遺留分についてもう少し詳しく教えてください

A.遺留分は「相続人が誰か?」によって割合が違ってきます。

 

上記Q&Aでは1/2で計算しましたが、相続人が直系尊属(親や祖父母など)のみの場合は1/3となり、兄弟姉妹には遺留分はありません
(この兄弟姉妹に遺留分が無いというルールが遺言書では大きな役目を果たすことがあります。後で詳しく解説します。)

 

次に、遺留分は相続人が主張しなければ効果が無いことです。

 

期限は1年です。この主張する権利を「遺留分減殺(げんさい)請求権」といいます。主張する相手は他の相続人です。

 

遺言書で遺留分を侵害されても「そのままでもかまわない」いうのであれば、権利を主張せずにいればいいだけです。
また遺留分は被相続人の生前に放棄することもできます。

Q.遺言書が有効なら全てその通りになりますか?

A.遺留分を侵害するような場合は難しいかもしれません。

 

遺言書には財産の分割方法を指定するだけでなく、なぜそのように分割したのかを書くことももちろんできます。付言事項(ふげんじこう)といい、「思い」などを記しておくことです。相続人に「思い」が伝われば相続がスムーズに進むことでしょう。

 

また子供の認知を遺言書ですることもできます。

 

遺言書を残すことのメリット

1番のメリットは相続がスムーズに進むことです。

 

遺言書が無い場合は、遺産分割は相続人全員参加で行う必要があります(遺産分割協議といいます)。遺言書が有れば、遺産分割協議も不要ですし、分割方法についても悩まなくて済みます。

 

また相続人以外の人にも財産を残すことが出来ます。

 

兄弟姉妹の遺留分はゼロ

ここで上記で触れた兄弟姉妹の遺留分について説明します。兄弟姉妹には遺留分が無いことはすでにお話しました。

 

つまり遺言書で「兄弟姉妹に財産を残さない」と書けばその通りになります。

 

遺留分が無いため「私にもチョットよこしなさいよ」と言えなくなるのです。

 

遺言書に関するトラブルは予想がつかない所で起きてしまいます。出来るだけリスクを回避するために専門家にアドバイスしてもらいましょう。


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