後見人Q&Aで後見制度を知りましょう

 

後見人に関する疑問をQ&A形式にまとめました。

 

Q.後見人って何ですか?

A.後見人とは、財産管理などが困難な方の法律行為(契約など)を代理して行う人のことを言います。

 

後見人には「未成年後見人」と「成年後見人」とが有ります。

 

さらに成年後見人には「法定後見」と「任意後見」が有ります。

 

ここでは成年後見制度の「法定後見」について解説していきます。(「任意後見」については最後に解説いたします。)

 

サポートする方を「後見人」、サポートされる方を「被後見人」といいます。

さらにここでは被相続人のことを「本人」と呼ぶことにします。

 

Q.後見人制度とはどんな制度ですか?

A.認知症や精神上の障害などで判断能力が無くなった方の財産の管理や契約などの手続きをサポートする制度です。

 

判断能力が衰えてしまっては財産を守ることや、新たな契約を結ぶことが出来なくなってきますよね。そのような場合に、第3者に代理して行ってもらうことで本人の生活をサポートしましょうという制度です。

 

後見人の仕事は大きく分けて「財産管理」と「身上監護」になります。

Q.財産管理とは具体的にはどういう事をしますか?

A.財産管理とは、本人に必要な金銭や財産の処分を本人に代わって後見人が行うことです。

 

具体的には「財産管理表」や「金銭出納帳」などを作成してお金の流れを管理することになります。

Q.身上監護とは具体的にはどういう事をしますか?

A.本人に必要な医療方法を選択したり、医療契約などを代理して行います。

 

介護においては介護認定の申請や適切な介護サービスを選択したり、介護施設への入退所契約を代理して行います。

Q.後見人制度を利用するタイミングはいつですか?

A.本人の判断能力が衰えてきたら検討が必要です。

 

この段階で準備が出来れば良いのですが、現状は必要に迫られて利用される方が多いようです。
例えば、本人の判断能力を理由に介護施設への入所が出来なかったり、銀行での取引が断られた時などです。

Q.後見人制度を利用するにはどうしたらいいですか?

A.後見人制度を利用するためには家庭裁判所への申立てが必要になります。

 

被後見人となる人の財産状況や健康状況、後見人候補となる人の資料、申立書などの書類をそろえて提出することになります。そして、当事者との面談のうえ審判を受けて後見人が決定します。

 

詳しくは「後見制度利用の流れ」ページをご覧ください。

 

Q.後見人に選任される方はどんな人ですか?

A.後見人の指名は家庭裁判所が行います。

 

もちろん後見人の希望候補者を申し立てることは出来ますが、その方が指名されるとは限りません

 

親族側からしてみれば身内の方が後見人として選ばれることを望むでしょう。ですが、管理する財産が大きいと弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職の方が選ばれることが多くなります。(管理する財産が大きいとはだいたい1000万以上でしょうか。)

 

専門家の方などが後見人となった場合は報酬が発生することになります(月々2万円程度です)。これは被相続人の資産から支払われることになります。

ただ、各地方自治体で助成制度などが整備されており報酬額の多くは助成金などで賄えるでしょう。

 

Q.後見人なった時は何をしますか?

A.上記でも触れたように財産管理と身上看護を行います。その結果を毎年家庭裁判所に報告することになります。

 

財産管理においては特に注意が必要です。被後見人の財産保護のために様々な制約が有るからです。被後見人の財産保護が主な目的なので、被後見人の財産を脅かす行為は禁止されています。

 

例えば、被相続人を保証人としたり、被相続人の不動産に抵当権を設定したりすることが出来ません。また、被相続人が節税対策としてしたであろう生前贈与なども出来ません。

Q.後見人の仕事はいつまで続きますか?

A.基本的には被相続人が亡くなるまでです。

 

後見人の制度を利用するきっかけとしては介護施設への入居のためや相続の遺産分割のためなど様々でしょう。(必要に迫られてからの制度利用が圧倒的に多いです。)

 

ですが一度後見人となった場合はその後も仕事が続きます。ですから遠方に住んでる方が後見人となる場合には特に検討が必要です。

Q.後見人制度を利用した時のメリットは何ですか?

A.被相続人の財産管理や身上監護が適切に行われることです。

 

それは後見人はもとより家庭裁判所の監督があるためです。

 

また、不要な契約などは取り消すことが出来ます。例えば訪問販売や被相続人が行った契約などです。ただし日用品の購入などは取り消すことが出来ません。

Q.後見人制度を利用した時のデメリットは?

A.本人の財産などの保護については問題ないでしょう。ただ、年一回の家庭裁判所への報告が、被相続人の存命中続きます。

 

また、専門家が後見人となった場合はそれだけでストレスに感じてしまうこともあります。

Q.後見人制度の利用状況はどうなってますか?

A.残念ながら利用される方は差し迫った事情のある方が多く、計画的に利用される方は少ないようです。

Q.「任意後見制度」について教えてください

A.任意後見制度は本人の判断能力があるうちに将来に備えて支援者(任意後見人)を決め、もしもの時(判断能力が無くなった時)の財産管理や身上監護の内容を決めておく制度です。

 

判断能力が無くなった時に家庭裁判所で「後見監督人」を選任してもらいます。後見監督人とは任意後見人を監督する人です。

 

この段階で任意後見人の仕事が始まります。内容は事前に決められた内容です。「後見制度利用の流れ」でも触れています。ご参照下さい。

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