相続人によって揃える戸籍が違います。
相続手続きにおいては添付書類として戸籍謄本を用意しなくてはなりません。
戸籍は1通だけではなく3通4通、場合によっては10通を超えることも有ります。
では一体どれだけの戸籍謄本を集めなければならないのでしょうか?
それは、「相続人が誰になのか」によって大きく変わっていきます。
それでは順番に見ていきましょう。
必ず集めなければならない戸籍謄本
相続手続きにおいて戸籍謄本を提出する理由は、
1 故人(被相続人)の死亡を確認するため
相続手続きにおいて、故人(被相続人)が死亡したことを証明することが求められます。
例えば死亡保険金の受け取りや、保険・年金の解約などです。
この場合は、故人(被相続人)の死亡を確認するためなので、「死亡診断書の写し」などでも代用することが出来ます。
2 相続人を確定するため
手続きの相手方(銀行、郵便局、証券会社、法務局など)は、手続きをしようとしている人が相続人であることを確認します。
従って正当な相続人であることを証明しなければなりません。
その唯一の手段とも言ってもいいのが戸籍謄本での証明です。
相続人になることが出来るのは、
1 配偶者
2 子
3 親
4 兄弟姉妹
です。
この順番で相続人が確定するまで戸籍を集め続けることになります。
先ずは「1 配偶者」の存在と「2 子の存在」を確認するために
故人(被相続人)の出生から死亡までの連続したすべての戸籍謄本を集めます。
「1 配偶者」の存在は被相続人の死亡時の戸籍謄本で確認できます。
「2 子の存在」は被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本で確認できます。
従って先ずは被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を集めなければならないのです。
必要に応じて集めなければならない戸籍謄本がある
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本だけでは満足できないことがあります。
それは、「2 子」が存在しないときです。
もちろんこの場合も、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要です。なぜなら「子の不存在」を証明するためです。
その上で、次の相続権の有る「3 親」の存在、不存在を証明しなければなりません。
この証明も戸籍謄本で行います。
ではどのように行うのでしょうか?
欲しい情報は親の生死です。
接点は被相続人の出生から死亡までの戸籍の中に有りますから、そこから「親(両親)」の戸籍を辿ります。
親の存在(生存)が確認出来れば、ここまでで戸籍集めは終わります。
両親が共に亡くなっている場合は、「祖父母の生存も確認しなければなりません」
民法では、両親が亡くなっている場合はそれぞれの両親(祖父母)に相続権が移ります。
しかし、被相続人の親の親である祖父母が生存している確率はかなり低くなります。
また生存していればかなり高齢となっているはずです。
従って今まで集めた戸籍謄本から100歳を大きく超えているようであれば、生存を確認する必要はないようです。
明らかに亡くなっている人の戸籍謄本まで取り寄せるのは合理的ではありません。
相続権が兄弟姉妹の場合は戸籍謄本集めが大変です
ここまで集めた戸籍謄本は、「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」「被相続人の親(直系尊属)が全て死亡していることを証明する戸籍」ですね。
これだけでは「4 兄弟姉妹の存在」を確認できません。
では兄弟姉妹の存在の確認はどのようにするのでしょうか?
それは、親(両親)の出生から死亡までの連続した全ての戸籍謄本を取り寄せる必要があります。
そこで取り寄せた戸籍謄本を読み解くことで、相続人が最終的に確定します。
ちなみに兄弟姉妹に先に亡くなっている方がいる場合は、その亡くなっている方の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せる必要があります。
ここまでくると必要な戸籍謄本は10通以上となることが多く、戸籍謄本を収集するだけでも数か月を要することもあります。
このように相続権が後順位になるほど集める戸籍謄本が増えていきます
過去に発生した相続などで戸籍謄本を収集したものは保管しておくと良いでしょう。後に発生する相続手続きにおいて助けとなります。
戸籍謄本を収集することは相続手続きにおいては必須事項です。
普段取り扱うことのない戸籍謄本ですが、その人の人生が凝縮されていますので、頑張って収集するのも面白いでしょう。
ですが、相続人が兄弟姉妹まで移ってしまう場合はかなり苦労しますので専門家に依頼した方が良いかもしれません。
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